宮城の地熱発電所で噴き出し事故 1人重傷1人不明

2010年10月18日

宮城県大崎市鳴子温泉鬼首荒雄岳の電源開発(Jパワー)鬼首地熱発電所の構内で17日、水蒸気や熱水を含んだ土砂が噴き上げ、大館市の明間ボーリング社員、伊藤邦昭さん(63)=湯沢市皆瀬=が行方不明となり、1人が重傷を負った事故で、宮城県警は18日、捜索活動を再開、午前11時15分ごろ、土砂の中から伊藤さんの遺体を発見した。
 県警は午前7時半、機動隊を動員して地元消防員らと合わせて計67人で、重機やスコップを使って現場一帯を探していた。
 県警鳴子署によると、事故当時、伊藤さんは蒸気の噴出口中心部から約50メートル付近で作業をしていた。噴出口はすり鉢状に陥没しており、直径は20~30メートル。伊藤さんは穴の外側で作業していたが、付近には1メートルほど灰のような土砂などが積もっていた。

鬼首地熱発電所は18日夜、宮城県大崎市鳴子温泉の関連施設で事故について記者会見し、佐々木正人所長が「大変な事態となり、申し訳ない」と陳謝した。佐々木所長ら発電所側との主なやりとりは次の通り。

 ―水蒸気噴出時の現場の状況は。
 「現場にいた社員からは、地鳴りや揺れがひどく灰がどんどん降ってきたと聞いた。100度の熱水に加えて土砂も降り大変な状況だった」
 「(大やけどを負った)高橋安幸さんは灰が降る中を重機を運転して避難した。現場にいた4人のうち2人は噴出物が来ない方向に逃げて助かったようだ」
 ―想定される原因は。
 「いくつか推定できるが、この場では示せない。噴出口はまだ危険で近寄れない状況だ。関係機関に協力し、早く原因を究明したい」
 ―噴出口に石を入れて蒸気を抑える手法は一般的なのか。
 「工事を請け負った関連会社の提案で石を入れることにした。地下の熱水の飛散を抑える効果がある。鬼首地熱発電所では初めてだった。温泉地域で伝承されている手法のようだ」
 ―再発防止策は。
 「しっかりした対応策を示さないと地元住民に安心してもらえない。迅速に対応する」

 

 

 

 

 

 

福島県 磐梯・吾妻・安達太良地熱開発対策委員会

地熱発電に「待った」- 朝日新聞デジタル

温泉に影響する開発には反対――。政府が地熱発電の有力な候補地とする磐梯・吾妻地域での開発について、反対する組織が14日発足した。原発事故後、再生可能エネルギーへの期待が高まっているが、影響を懸念する地元の温泉地が待ったをかけた形だ。

この日設立されたのは「磐梯・吾妻・安達太良地熱開発対策委員会」。設立発起人には、高湯、土湯、岳など周辺温泉地の代表者23人に加え、山形県米沢市からも10人が名を連ねた。

地中の熱水や蒸気を利用する地熱発電は、周囲の温泉の湯量が減ったり、成分が変わったりする可能性がある。このため、温泉業界は開発に反発。今回の対策委発足で、地元の反対姿勢がより鮮明になった

 

 

福島県における地熱資源開発に関する情報連絡会(議事概要)

日時:平成 24 7 31 日  場所:福島市杉妻会館

 

○福島県温泉協会 佐藤会長

・日本温泉協会から地熱発電に関してお願いしていることで、

①無秩序な地熱資源開発を回避するためにも地元の合意、

②客観性が担保された相互の情報公開と第三者機関の設置、

③過剰開発・採取防止と規制、

④継続的かつ広範囲にわたる環境モニタリングの徹底と万

が一問題が起きた場合の代替え出来る体制を、県もしくは国が整えた上で開発事業者に委託して欲しい、

⑤被害を受けた温泉地の回復作業の明文化について、この情報連絡会で検

討してもらいたい。

 

○福島県旅館ホテル組合 菅野理事長

・資源エネルギー庁の地熱開発に関する説明で、安全性の話しが出てこないのは納得がいかない。

・原子力も安心・安全と言われながら、今回の事故でその根底が崩れ去た。

・安全の確約は、旅館業だけではなく、福島県民全員の認識である。

・メリットの主張だけではなく、安全性の確約無くしては県に事業開始を認めてもらっては困る。

・福島県民への説明をもっとしてもらいたい。

                                                

○磐梯・吾妻・安達太良地熱開発対策委員会 遠藤委員長

・エネ庁の話しは、5月に表明した地熱開発への懸念に対する説明になっていないため、不信感が募っている。

・地熱発電問題を、行政等のトップと話しをするのではなく、地域住民との話し合いを中心とすべき。

・福島県は、電源開発により大きなダメージを受けてきた。

 

○福島県自然保護協会 星会長

・原子力問題ももちろんのことだが、過去にも東京電力と東北電力で行った阿賀野川水系の電源開発により、ダムが土砂で埋まり、現在でも上流で洪水が起こりそうになり放流すると、下流で水害になる問題が起こっている。

・以前に葛根田地熱発電に行ったが、騒音がすごかった。猛禽類は騒音に敏感。バランスが崩れ、生物多様性が失われる。

・地熱発電により、福島県はこれ以上ダメージを受けたくない。

・ヒ素問題の説明が不十分で水源に流れ出すのではないかという意見があがっている。

・地熱発電を作るのであれば他県に作ってもらいたい。

 

 

 

 

 

全国的な反対運動

地熱発電所は温泉観光地と共存できません。

朝日タイムズ 

平成15年7月11日号

 

日本各地で反対運動

下呂 草津 黒川でも

 

これまでに、日本各地の温泉地の周辺で地熱発電所計画が持ちあがってきたが、地元の反対運動で建設中止となったものは少なくない。群馬県草津温泉では昭和55年から56年頃に地熱開発の計画が持ち上がった。いったんは町議で可決され国から群馬県に調査資金として十二億円が入ってきたが、中澤晃三氏(群馬県草津温泉ホテルヴィレッジ、日本温泉協会地熱対策委員会委員長)が、「秋田県の八幡平にある大沼地熱発電所周辺温泉地で湧出量の減少や泉温の低下など温泉の枯渇現象がみられる」という話を聞き国内の地熱発電所周辺の温泉地の聞き取り調査を開始、海外における事例調査まで行い報告書にまとめ昭和56年、町議会に提出した。これをきっかけに草津温泉では全面的な地熱発電反対運動が繰り広げられ国民的な財産である草津温泉の湯畑も守られたのである。

また、昭和57年には岐阜県下呂温泉で御岳地熱発電計画が持ちあがり、町長はじめ全町を挙げて反対運動を行った結果、6年かけて昭和62年、計画の中止が決定した。このほか、大分県別府市鉄輪温泉の伽藍岳地熱発電計画、和歌山県湯峰温泉の地熱発電計画、熊本県小国町の小国地熱発電計画が地元の反対運動で阻止されている。そもそも、地熱エネルギーは、石油ショツク後、石油に替わる代替工ネルギーとして国が開発を進めてきた。環境に負荷の少ないクリーンエネルギーとうたわれているが、周辺温泉地での温泉の枯渇、湧出量の減少、泉温低下など周辺の源泉に影響が出ているほか、士砂崩壊、ヒ素による空気や土壌、河川の汚染などの問題などを指摘する学者もいる。

 

 

 

 

草津町と嬬恋村が衝突


温泉保護と財政難で主張は対立

2009年3月2日

 

名湯の草津温泉が隣接する嬬恋村の地熱発電所建設に猛反対している。温泉への理解と科学的な裏付け、政策支援で共存共栄の道を探るべきだ。

 「地熱発電は温泉地を消滅させてまでやるほどのものですか。日本最大の八丁原地熱発電所(大分県九重町)ですらたかだか11万kW。たったそれだけの電気のために、万が一、草津温泉をダメにしたら誰が保障してくれるんですか」─。

 群馬県草津町の黒岩信忠町議会議長は、穏やかな口調ながらも一歩も譲らないとの決意をにじませる。

 井戸を掘らず自然にわき出す温泉として日本一の湧出量を誇る群馬県草津温泉。湯治場としての歴史は古く、鎌倉時代に源頼朝が、江戸時代には8代将軍徳川吉宗が好んだといわれる。湧出量のほか、国内屈指の強酸性の泉質が、毎年300万人の観光客を呼び寄せる。名実ともに日本を代表する温泉地の一つである。

 その草津町が、隣接する群馬県嬬恋村の地熱発電所建設計画に猛反対している。反対運動の急先鋒である黒岩議長は、語気を強めて続けた。「地熱発電所で湯量が減ったり温度が下がった温泉をこの目で見ました。絶対に認められない」

 

草津温泉旅館日記

草津温泉スポーツ情報

 

温泉と地熱発電は共存できるか 

 

 

 

 

 

 

熊本県の黒川温泉の反対運動

小国町の反対運動
小国町の反対運動

愛知県下呂温泉の反対運動

下呂温泉反対運動
下呂温泉反対運動

定山渓温泉の反対運動

長崎県雲仙温泉の反対運動

雲仙地区反対運動
雲仙地区反対運動

長崎県では「混乱をまねく」という理由で雲仙地区に開発予定の地熱発電所を許可しないとしました。アメリカやアイスランド、ニュージーランドなどと違い、人口密度が高く、温泉文化のある日本に地熱発電所を作ることはあまりにも無理があります。

 

 

 

地熱発電所はほんとうにクリーンエネルギーで地球にやさしい発電所でしょうか。広大な森林を伐採して道路をつくり、設備をつくり、そして1500mや2000mという大きな生産井戸を何本も掘削し1日何万トンもの温泉蒸気を取り出します。戻す井戸を還元井といいますが、この莫大な温泉水を地下に送り込むことによって地震や地滑りに影響が出ているという報告もあります。

 

 

 

地熱発電と温泉は共存できるか

文/山根小雪(日経エコロジー)

日本温泉協会70年記念誌

「地熱問題の対応」より抜粋

 

 

中沢常務理事の報告は左記の通りである。

イタリアのラルデレロ地区は、世界で初めて地熱発電が行われたところですが、幅15 キロメートル長さ23キロメートルに及ぶ地域での温泉源のほとんどが、80年にわたる地 熱開発の結果全滅して、僅か残っている温泉も泉温の低下、ゆう出量の減少をきたしてい る事が学者により報告されています。・

又環境庁の企画調整局の報告(昭和55年11月、「エネルギーと環境」海外事情調査報 告書)によれば、アメリカでは世界の十指に数えられる間欠泉が地熱探査のボーリング の時点で完全に止り、地熱開発が行われた7地域のうち4つの地域に大きな影響があり、間欠泉枯渇があり、3つの地域の小さい地域の間欠泉が停止しています。

ネバダ州の「ベオワワ・カイザー」では、世界的に著名であった問欠泉の停止が地熱 調査のボーリングの直後に起きており、同じネバダ州のスティームボートスプリングで も世界的間欠泉と温泉の完全なる破壊が起きています。

又、ニュージーランドのワィラケイ地熱発電所の周辺では、自噴地域の完全なる破壊 がおきて学術的に貴重であった間欠泉のすべてを失っています。

このように諸外国でも地熱発電事業の開発を行ったすべての地域に多大な影響が見ら れ、温泉の完全停止、間欠泉の大規模の破壊があったことを報告しています。

昭和41年に岩手県松川温泉のすぐ近くに松川地熱発電所が日本ではじめて開かれて以 来現在6カ所の地熱発電所が操業されていますが、これらの地熱発電所の周辺の温泉源に著しい異常現象が起きています。

秋田県鹿角市八幡平にある大沼地熱発電所の周辺の温泉では、昭和46年8月に発電の 操業を開始してから、次第に温泉、ゆう出量に異常が起り「トロコ温泉」では完全に自 噴が停止し、営業不能になっております。「赤川温泉」では54度あった泉温が次第に減 りはじめ、現在では34度で入浴することができなくなりました。鹿角市が補助500万円を出してボーリングして50度の温泉を地下200メートルのところからくみあげていますが、従来酸性泉であったものが、アルカリ性の温泉に変ってしまいました。 「銭川温泉」では7つの温泉がありましたが、そのうちの4つの源泉の温度が著しく低 下し、89度あった源泉が47度と実に42度の低下となってしまい、このうち2つの源泉が全く枯れてしまっています。又ここは地熱が高く、有名な「おんどる療法」を行っていましたが毎年温度が低下しつづけて駄目になるのは時間の問題だとされてます。 又「澄川温泉」も秋田県衛生科学研究所の調査によると、昭和51年より泉温が低下し ゆう出量の減少が見られたと報告されています。「後生掛温泉」では有名な「泥地獄」が乾いたり噴気の移動が大規模にはじまって無気味な現象が起きてます。「大沼温泉」は地熱発電所開始の時点で枯渇現象が起きて、地熱発電所から熱水でわかした真湯を利用しています。又「蒸ノ湯温泉」は地すべりが出て半壊してしまいました。 このように八幡平大沼地熱発電所の周辺では、遠くはなれた「志張温泉」を除いたすべての温泉に異常が起っています。 岩手県松川地熱発電所周辺の温泉は2ケ所しかありませが「松川温泉」では泉温 の低下が起き、岩風呂は水位が1メートルも下っています。同じく岩干県葛根田地熱発電所周辺では操業を開始したばかですが大きな地滑りが起っており学者間で問題にしていす。 宮城県にある鬼首地熱発電所周辺では、荒湯地獄の泥火山が大規模に乾いてしまって いますし、「宮沢温泉」では間欠泉が止ってしまっています。

大分県の九重町には、大岳地熱発電所と八丁原地熱発電所の2つ発電所があり、九 州電力が大規模な開発を行っています。ここでも両地熱発電所にはさまれた「筋湯温泉」や「河原湯温泉」に異常が起っています。筋湯温泉は27源泉あってその大部分に泉温の低下、ゆう出量の減少が見られています。中でも「筑後屋源泉」は泉温が10度も下り、ゆう出量は毎分96リットルであったものが25リットルと4分の1になっています。 又「ひぜん湯」では4つあった源泉の3源泉が完全に枯渇川を隔てたところのある1つの源泉も、ゆう出量、泉湿に著しい異常が起きています。又「河原湯」では2つの共同浴場のいずれもが、泉温69度あったものが57度と低下して冬期問は浴槽を4分の1小さくして利用しているという有様です。 ここは有名な地獄地帯ですが小松地獄、大岳地獄、泥地獄、小地獄とすべての地獄の噴気が弱まり地温が著しく低下し、昔から湯田と称して地獄の温度で温めた湯を稲作に利用していたのですが、これもできなくなってしまいました。今では地熱発電所から熱水の供給を受けてやっています。泥地獄、小地獄では高温の湧泉が全く水になってしまっています。 この九重町に、昭和50年4月21日にマグニチュード6.4という大地震が起きています。そして大きな被書が出ました。地熱発電のせいかどうかわかりまが大岳地熱発電所開始以後に起きたものであることには間違いありません。 秋田県大沼地熱発電所周辺でも大沼地震を記録しています。このような地震の例は外国でも報告されています。

(『温泉』第50巻8月号P.24 昭和57年8月1日)

 

また、昭和58年度会員総会において岐阜県下呂温泉、静岡県修善寺温泉、群馬県草津 温泉の代表より「地熱発電開発に関する既存温泉地の温泉源の保護について」の議題が横 出され、この決議にもとづき9月22日、日本温泉協会は大野名誉会長、榎本会長、大島技術部委員長、さらに群馬県温泉協会長・木暮敬、静岡県温泉協会長・木村武志、下呂温泉保護協会長・矢澤鐘三、以上の連名により、関係省庁および関係先へ陳情を行ない、無秩序な地熱開発の反対を強く訴えた。

既存温泉に影響を及ばす恐れのある地域における地熱発電開発に反対する陳情書

1要旨

既存温泉に影響を及ばす恐れのある地域における地熱発電開発を中止されたい。

特に群馬県草津温泉、静岡県湯ケ島温泉、岐阜県下呂温泉の3地区周辺の地熱発電開発は、即時中止されたい。

2、理由

日本国民にとって温泉は保養、休養、療養のため欠くことのできない天恵の資源であるところ、社団法人日本温泉協会は、早くより地熱エネルギーの開発特に地熱発電による既存温泉への影響について、痛く憂慮していたが、昭和56年度会員総会に於いて、群馬県草津温泉から提出された議題「地熱問題について」を採択し、地熱エネルギー開発特に地熱

発電開発が既存温泉に及ばす影響を憂慮して、温泉源の保護につき関係先へ運動を展開し てまいりました。 然しながら、その後はサンシャィン計画に基づき資源エネルギー庁、新エネルギー総合開発機構、電気事業者などにより地熱発電開発促進調査を推進し、まず中部電力㈱が昭和57年度の春以来、岐阜県小坂町の御岳山麓一体で地熱発電のための調査を実施しております。これにつき下呂町は御岳山系の熱源が泉源とされる下呂温泉源に影響を及ぼすことは、必至であるとして泉源保護の立場から町全体がこの発電調査に反対しております 次いで、今年度に入り新エネルギー総合開発機構は、静岡県天城湯ケ島地区を調査地域に

決定したため、この地に隣接いたします修善寺町は、これらの調査その後の地熱発電に対 し、泉源への影響に強く危倶の念をもち地元天城湯ケ島地区温泉事業関係組合その他、広 域の関係筋の一致した要望として伊豆湯河原温泉を含む伊豆全地域を地熱発電開発促進調 査地域より除外してほしいと要望しております。

下呂温泉は昭和49年より、修善寺温泉は昭和57年より集中管理システムを完成し、温泉保護と有効利用を実施しております。そこで、これら各地の要望が当協会昭和58年度会員総会を岐阜県下呂町において開催いたしましたところ、岐阜県下呂温泉、静岡県修善寺温泉並びに群馬県草津温泉の会員代表より「地熱発電開発に関する既存温泉地の温泉源の保護について」との議題として提出され満場一致の賛成を得て、陳情要旨の如く採択されました。よってここに会員総会の総意に基づき、周辺温泉源に影響を及ぼす恐れのある地熱発電開発事業を中止されんことを陳情いたします。

添付参考資料

1、群馬県草津温泉の陳情書(略)

2 静岡県天城湯ケ島温泉の陳情書(略)

3、静岡県修善寺温泉の陳情書(略)

4 岐阜県下呂温泉の陳情書(略)

5、社団法人日本温泉協会の陳情書

 

スイス、地熱発電会社が地震を誘発したとして提訴される

スイスのバーゼルと言うところで、地熱エネルギー会社が地震を誘発して建物などに損害を与えたとして提訴されたそうです。
Markus Haering
氏の会社は、地熱を利用した発電所を計画していたそうで、このプロジェクトには地元の政府も関わっていたそうです。しかし、その掘削が原因で地震を誘発し、このプロジェクト自体が2006年に中止されたそうです。

原因はその掘削によると思われる地震が発生したことで、死傷者などいなかったものの900万ドルもの損害に繋がったそうです。その後の政府による調査で、今度この掘削などを続けると類似した地震によって毎年数百万ドルもの被害が出ることが予想されることが明らかになり、先週になってこのプロジェクト自体が完全に停止されたそうです。

この会社のへーリング氏は先日裁判所に出廷し、そこで故意にこのような事態を引き起こしたわけではないと話し、更に地元の人達もこの危険性には気づいていたと話したそうです。
更に、掘削がPetit-Huningueエリアという場所で行われる前は、これに起因する地震の知識はわずかしかなかったと話したそうです。

ちなみに、この掘削が原因で発生した地震の内、一つはマグニチュード3.4にも達したそうです。
スイス政府の調査報告では、このままプロジェクトが続けば15%の可能性で最大5億ドルもの損害を伴う地震を誘発する可能性があると結論づけたそうです。
しかし、それでもこのバーゼルの町の下を走る活断層には影響を与えることはないと見られているそうで、この活断層は1356年に都市を大損害させた巨大な地震を引き起こしているそうです。

今回の裁判の判決は来週にも言い渡されるそうで、へーリング氏が故意に資産に損害を与えていると認められれば、最大で禁固5年が言い渡される可能性があるとのこと。  

 

 

 

 

フイリッピンの事例

国際協力機構の発表と現地の実態報告

独立行政法人 国際協力機構の発表

 

北ネグロス地熱開発事業

全エネルギー消費量の約70%を輸入原油に依存している比国では、国産エネルギー資源開発がエネルギー政策上の最重要課題の一つである。国産エネルギーの開発は、全電力消費量に占める国産エネルギー利用の比率を、2005年までに50%以上とすることを目標に進められており、これまで地熱、水力、国産石炭、天然ガスの開発が行われてきた。特に、地熱開発は火山国である同国特有の資源として比側も積極的に進めており、1995年末現在、地熱発電所は全発電設備容量9,700MWの内およそ12%の1,150MWを占めている。今後も2005年までに、本事業を含めた940MWが新規に開発される予定である。

本事業は、国産エネルギーである地熱資源をベースロードとして開発し、旺盛な電力需要増を示すビサヤス系統に安定した電力を供給することを目的に、ネグロス島北西部西ネグロス州の地熱資源を開発し、地熱井の掘削、蒸気輸送・還元設備の調達・据付、40MWの発電所の建設を行うものである。

波多江秀枝さんのフィリピン報告会 2010.2.13

 

北ネグロス地熱発電事業
40
メガワットの発電を目的とした事業。着工前から環境面での懸念が挙げられていたにもかかわらず、1997年に日本の円借款を得て、建設工事が進められました。建設中には、環境汚染、健康被害、農業被害、自然保護区への影響、移転住民や地元農民の生活苦など、多くの環境社会問題が地元住民・NGO等から指摘されました。その後も、自然保護区に隣接するバッファーゾーン内への事業の拡張など、環境社会面での地元住民・NGOからの批判が絶えません。

開発の名の下に―西ネグロス州民衆の苦闘

 

ネグロス島KMP議長とともに訪れた西ネグロス州のいくつかの土地では、開発の名の下に激しいサブシステンスの破壊が進められていた。カンラオン火山の中腹に位置するシティオ・パタアン(Sitio Pataan)は豊かな水を利用して棚田耕作を行なう静かな山村であったが、ここにPNOC(フィリピン石油公社)が日本のJBIC(国際協力銀行)の融資を受け、地熱発電所の建設を開始してから生活が一変してしまった。住民は不法占拠ではなく政府に長年地代を払って住んできた人びとであるにもかかわらず、PNOCは「国有地だから出てゆけ」と一方的に通達するのみ。しかも工事のために水源が汚染され、川には小魚一匹棲まなくなり田んぼの収量も激減した。大雨が降るとさらに土砂崩れで田んぼも破壊されたが、PNOCは住民を原住地よりも狭く、水もない低地の再定住地に強制移転させようとしている。これらに対して住民はピケなどによる工事の実力阻止やオルタナティブ・ジャーナリズムを通してのアピールを行なってきたものの、被害の詳細を立証する科学的調査は行ない得ていないのでPNOCに対して科学的根拠をもって汚染被害を主張できないでいる。