宮崎県における年降水量の分布を図9に示した。すべての地域で2000ミリ以上降っており、霧島山系や鰐塚山系および県中部の山間部では3000ミリを超え、日本の最多雨域の一つになっている。中でも霧島山系のえびの高原は4804ミリで日本でも1・2位を争い、6・7月の合計雨量(はば梅雨期の雨量に相当)は日本一である。他方、東部の海岸地方や北西部の山間部が相対的に少ない。
このように日本有数の多雨域である宮崎県では大河川の上流域や山地で雨が多いために早くから水力発電の開発が進められ、森林資源の活用、農業の振興が図られた。しかし、これらも近年の産業革命等によって需要が落ちているが最近はまた地球環境の保全問題から注目されている。
鈴木 宗徳(元 宮崎地方気象台長)